吉田麻代さんのこと



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photo/Arata Yoshida



2021年4月に独立してもうすぐ丸3年。
すでに独自の個性を持たれ、オーダーでの額縁制作されています。

今回はアートを暮らしに溶け込ませる「kurogane額縁」としての作品を
主軸にご覧いただきましたが、
吉田さんにはもう1つ、ライフワークとして
"中世ヨーロッパの額縁の復刻"というテーマがあります。

子どもの頃にお母様とよく出掛けた美術館で、
いつしか額縁が気になるようになっていた吉田さん。
時代を経て名を残す画家の傍らで、同じく時代を超えて
仕事を残す名もなき額縁職人に憧れを抱いていたそうです。

歯科衛生士を職とし10年経つ中で、ある時に
額縁を仕事にする道があると気が付かれます。
夫の新さんの「やってみたら」という言葉に背中を押され周りの方の支えもあり、
思い切って憧れだった額縁職人への道を歩き始められました。

岡山市内の額縁制作所に勤務の後、倉敷市の額縁職人のもとに弟子入り、
箔押しや彫刻の技術を学び独立。
1mmのズレも許されない技術を要する歯科衛生の仕事も、
額縁制作に思いがけず役立っているそうです。

2024年2月から、イタリアはフィレンツェでヨーロッパの額縁工房に遊学されます。
フィレンツェへの道筋もご縁を辿り、何度も工房の門を叩かれました。

1度や2度断られてもめげず「『たのもうー!』が得意なんです」と仰る吉田さん。

日本では額縁職人を志す人が希少なため、模索しながら自ら道を切り拓いていかれます。

依頼される方に寄り添いながら、
額縁と額縁に収める作品そのものへの愛情を持ち
理解しようとされる姿勢、好きなものに真っ直ぐで愛される人柄に
応援する人が多いのもわかります。
この機会に、脇役とされる額縁にも思いを馳せていただけたら幸いです。




○吉田麻代 略歴○
岡山県出身。
岡山市内の額縁制作所に勤務の後、倉敷市の額縁職人のもとに
弟子入りし箔押しや彫刻の技術を学ぶ。
2021年4月に独立、現在はオーダーでの額縁制作を行なっている。
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いつからか美術館に行くたびに額縁が気になって仕方なくなりました。
自己を主張することなく、それでも必要とされアートと建築の狭間に静かに佇む。
そんな額縁の性質に魅了されこの世界に入りました。”額縁”を通し、
アートをより身近な存在にしたいと考えています。
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5月に帰国後、定番の額縁など制作していただく予定です。
気になられるもの、またはご希望がございましたらご相談ください。